慢性治療不応性咳嗽におけるインターフェロンγ誘発性

呼吸器系

インターフェロンβも使われることあったようだが)インターフェロンα(だからこの話とは違うのだが、以前、C型肝炎のインターフェロン療法をしたとき、激しい咳嗽誘発して治療断念した患者さんがいた。

百日咳に関し、こういう報告がある

抗原ではなく、不活性化されたBpは、NK細胞による強力なIFN-γ産生を誘導し、その結果、リンパ球を呼吸器上皮に化学吸引することがわかった。これらのデータは、IFN-γ産生の必要条件と、IFN-γがBpを介した疾患を予防するための局所免疫応答を強化する方法についての洞察を与える

The Journal of Infectious Diseases, jiaa140, https://doi.org/10.1093/infdis/jiaa140 Published: 27 March 2020 

また、喘息とNK細胞について、type 2 immunityを含めなかなか複雑

 NK細胞の活動は、がん免疫監視や抗ウイルス防御にとどまらないことが、現在では広く認められています。最近の報告では、生体内でアレルゲンに応答してNK細胞が活性化することが示されている。NK細胞は、アレルギー感作、2型免疫反応、好酸球性炎症の発症、気道過敏性などを促進する。NK細胞は、respiratory syncytial virusや他の呼吸器系ウイルスによって活性化される。アレルギー性炎症が活発な状態で感染が起こると、NK細胞はその規模を増大させ、喘息増悪の一因となる。NK細胞のProasthma activitiesは、環境汚染物質への母体の暴露により、胚発生中にプログラムされる可能性がある。胎生期にプログラムされたNK細胞は、type-2 and type-3 cytokineを産生し、喘息の素因を媒介する。NK細胞はまた、喘息拮抗薬として作用することができる。NK細胞は、抗原特異的CD4+T細胞および type-3 immunityの抑制を通じて、炎症の解消に寄与している。アレルギー感作の前にナイーブマウスにウイルス感染が起こると、NK細胞は type-2 immunityに拮抗し、喘息の発症を予防する。Curr Opin Allergy Clin Immunol 2017 Feb;17(1):50-54. doi: 10.1097/ACI.0000000000000327.

NK細胞と喘息に関しては、アレルギー反応のプライミング段階でNK細胞が重要である

Natural Killer Cells in the Development of Asthma
Clinton B. Mathias
Current Allergy and Asthma Reports volume 15, Article number: 500 (2015)
Published: 11 December 2014
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11882-014-0500-2#citeas

 

横道にそれたが、単純に慢性治療不応性咳嗽に関してインターフェロンγ誘発性咳嗽が認められたという話だが、今後の治療に生かされるか?

Expression of interferon-γ and its effect on cough hypersensitivity in chronic refractory cough patients

Jiayang Sun, et. al.

Expression of interferon-γ and its effect on cough hypersensitivity in chronic refractory cough patients
Chronic refractory cough (CRC) is characterised by cough hypersensitivity. Interferon-γ (IFN-γ) has been reported to induce calcium influx, action potentials of...

Abstract

慢性難治性咳嗽(CRC)は、咳の過敏性によって特徴づけられる。インターフェロン-γ(IFN-γ)は、in vitroでカルシウムの流入、迷走神経細胞の活動電位を誘導し、モルモットで咳嗽反応を誘導することが報告されています。一方、CRC患者におけるIFN-γの影響はまだ不明である。

ここでは、フローサイトメトリーと吸入咳嗽チャレンジにより、CRC患者は喀痰中のIFN-γ+CD4+T細胞、IFN-γ+CD8+T細胞、およびIFN-γの上清のレベルが有意に増加していることを見出した。

CRC患者の咳の平均回数は、IFN-γ咳嗽チャレンジで吸入したIFN-γの濃度が上がるにつれて増加した。

CRC患者において吸入IFN-γにより誘発された2回以上の咳は10人中7人、5回以上の咳は10人中2人に発生した。IFN-γ(100μg/mL)を事前に吸入すると、CRC患者のカプサイシン咳感受性は上昇したが、健常ボランティアでは上昇しなかった。IFN-γを標的とすることは、CRC患者における有効な咳止め戦略となる可能性がある。

TRPV1アゴニストとの関連も・・・

Transient receptor potential vanilloid 1 agonists as candidates for anti-inflammatory and immunomodulatory agents
Eur J Pharmacol . 2010 Feb 10;627(1-3):332-9.
doi: 10.1016/j.ejphar.2009.10.044. Epub 2009 Oct 28.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19878665/
マウス EAE モデルにおいて、SA13353 は臨床症状および病理組織学的変化を抑制した。SA13353は、プロテオリピッドタンパク質(PLP)免疫後のTNF-α、IL-1β、IL-12p40、IL-17、インターフェロン(IFN)-γなどのサイトカインレベルを減弱させた。また、SA13353は、IL-17産生細胞の増加を抑制した。これらの結果は、TRPV1アゴニストが生体内で特定の炎症性疾患における抗炎症剤および免疫調節剤として作用する可能性を示唆している。

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