Covid-19:MIS-Cへのワクチン有効性

COVID-19

COVID-19後MIS-Cは、本法では騒がれてはいないが、欧米ではやはり注目されている。オミクロンの爆発的感染拡大が予想され、絶対数が以前より増加することが懸念される昨今。日本でも絶対数が増加する可能性がある。小児へのワクチン接種や症例同定などやはり啓発が必要だろう

ファイザー/バイオテックワクチンの2回接種により、12歳から18歳の青年におけるmulti-system inflammatory syndrome (MIS-C) に対する防御が強化されることが明らかになった。

CDC COVID-19緊急対応チームのLaura Zambrano博士(MPH)らは、このワクチンは、完全に接種した青年をMIS-Cから守る上で91%(95%CI 78%-97%)の効果を示したと報告した。

米国でDelta亜種が優勢だった2021年7月から12月中旬までに、20州にわたる102人の患者がMIS-Cで入院したが、このうちワクチンを接種した患者はわずか5%だったと、著者らはMorbidity and Mortality Weekly Reportに記した。

ワクチンを接種したMIS-C患者のうち、呼吸器系や循環器系の生命維持装置を必要とした患者はいなかったのに対し、ワクチンを接種していないMIS-C患者のうち39%が必要としたと、著者らは指摘した。

「今回の結果は、MIS-Cを含む小児におけるCOVID-19関連の重篤な合併症の予防にワクチン接種が有効である可能性が高いというエビデンスの増加に寄与する」と、Zambrano氏のグループは書いている。

先行研究によると、MIS-CはCOVID-19感染後数週間で発症し、6〜10歳の小児に最も多く見られるという。また、フランスで行われた先行研究では、完全なワクチン接種により青少年のMIS-Cの発症を防ぐことが判明しています。

CDC: Pfizer Vaccine Blunts Severe COVID Complication in Teens | MedPage Today

 

小児 COVID-19 関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)診療コンセンサスステートメン

総論
・ COVID-19 は小児で重症化することは極めてまれであるが、2-6 週後に COVID-19 に続
いて毒素性ショック症候群または川崎病を疑わせるような多臓器系にわたる強い炎症を
起こす病態(MIS-C/PIMS)が海外では多数報告されている。
・ 一部に、発疹や眼球結膜充血など部分的に川崎病様の症状を認め、川崎病の診断基準
を満たす例が存在する。しかし、MIS-C/PIMS と川崎病には症状や検査所見に相違点も
多く、同一のスペクトラムに属する疾患なのか、結論は得られていない。
診断, 鑑別診断
COVID-19 流行下、発熱以外に腹部症状(腹痛、嘔吐、下痢など)や循環器症状などの
複数の臓器に異常がみられる小児を診療した場合に MIS-C/PIMS を疑う
・ 川崎病様症状を呈し、その診断基準を満たす例は 22~64%とされており、川崎病様症状
を呈していなくても MIS-C/PIMS は否定できない
・ イギリスの PIMS 診断基準、アメリカの MIS-C 診断基準、WHO の MIS-C 診断基準が存
在する。症状から MIS-C/PIMS を疑った場合は本コンセンサスステートメントの図 1(診断
アルゴリズム)、表 3(確定診断の為に行う検査)を参考に診断をすすめる。


・ MIS-C/PIMS 患者の 60%は PCR 陰性/抗体陽性であったと報告されており、PCR 陰性でも否定できないことには注意が必要である。その場合は抗体検査の実施を考慮する。
・ 抗体検査は 2 種類の方法(CMIA と ECLIA)で確認することが望ましい。
・ 鑑別診断は、川崎病、川崎病ショック症候群(ショックを伴う川崎病)、心筋炎、敗血症をはじめ多岐にわたる。
・ 川崎病との鑑別のポイントは、MIS-C/PIMS では年齢が高く、循環不全が目立つこと、強
い腹痛を伴うことがあること、川崎病診断基準の4項目以下であることが多いことである。
治療
・ 初期治療は、免疫グロブリンを中心に選択する。重症度・全身状態に応じてプレドニゾロ
ン(またはメチルプレドニゾロン)の併用治療を考慮する。低用量アスピリンも開始する。
・ 追加治療は、免疫グロブリン再投与、プレドニゾロン(またはメチルプレドニゾロン)追加、
またはメチルプレドニゾロンパルス療法を考慮する。
・ 生物学的製剤に関しては、追加治療不応例や重症例に対して、充分使用経験例のある
施設と連携を図り使用を検討する。
・ MIS-C/PIMS は急激な症状悪化を来す場合もあり、小児の厳密なモニタリング・集中治療
ができる施設と速やかに連携し、状態が不安定になる前の転院・転棟を検討する。
・ MIS-C/PIMS では厳密なモニタリング下に血管内容量、ひいては臓器潅流を適切に保つ
ような輸液管理が肝要である。
・ 小児の集中治療に長けた施設との連携が難しい場合には、日本 COVID-19 対策
ECMOnet の小児窓口へ連絡し、小児集中治療のエキスパートへの相談を考慮する

MIS-C can occur weeks after COVID-19 infection, and is most common in children ages 6-10, according to prior research.

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